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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

九

運命は卒然としてこの二人を一堂のうちに会したるのみにて、その他には何事をも語らぬ。

九

「御勉強ですか」と女が云う。部屋に帰った余は、三脚几に縛りつけた、書物の一冊を抽いて読んでいた。

「御這入りなさい。ちっとも構いません」

女は遠慮する景色もなく、つかつかと這入る。くすんだ半襟の中から、恰好のいい頸の色が、あざやかに、抽き出ている。女が余の前に坐った時、この頸とこの半襟の対照が第一番に眼についた。

「西洋の本ですか、むずかしい事が書いてあるでしょうね」

「なあに」

「じゃ何が書いてあるんです」

「そうですね。実はわたしにも、よく分らないんです」

「ホホホホ。それで御勉強なの」

「勉強じゃありません。ただ机の上へ、こう開けて、開いた所をいい加減に読んでるんです」

「それで面白いんですか」

「それが面白いんです」

「なぜ?」

「なぜって、小説なんか、そうして読む方が面白いです」

「よっぽど変っていらっしゃるのね」

「ええ、ちっと変ってます」

「初から読んじゃ、どうして悪るいでしょう」

「初から読まなけりゃならないとすると、しまいまで読まなけりゃならない訳になりましょう」

「妙な理窟だ事。