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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

山が尽きて、岡となり、岡が尽きて、幅三丁ほどの平地となり、その平地が尽きて、海の底へもぐり込んで、十七里向うへ行ってまた隆然と起き上って、周囲六里の摩耶島となる。これが那古井の地勢である。温泉場は岡の麓を出来るだけ崖へさしかけて、岨の景色を半分庭へ囲い込んだ一構であるから、前面は二階でも、後ろは平屋になる。椽から足をぶらさげれば、すぐと踵は苔に着く。道理こそ昨夕は楷子段をむやみに上ったり、下ったり、異な仕掛の家と思ったはずだ。

今度は左り側の窓をあける。自然と凹む二畳ばかりの岩のなかに春の水がいつともなく、たまって静かに山桜の影をしている。二株三株の熊笹が岩の角を彩どる、向うに枸杞とも見える生垣があって、外は浜から、岡へ上る岨道か時々人声が聞える。往来の向うはだらだらと南下がりに蜜柑を植えて、谷の窮まる所にまた大きな竹藪が、白く光る。竹の葉が遠くから見ると、白く光るとはこの時初めて知った。藪から上は、松の多い山で、赤い幹の間から石磴が五六段手にとるように見える。大方御寺だろう。

入口の襖をあけて椽へ出ると、欄干が四角に曲って、方角から云えば海の見ゆべきはずの所に、中庭を隔てて、表二階の一間がある。