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くさまくら

草枕

夏目 漱石

一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页

青空文庫

詩人に憂はつきものかも知れないが、あの雲雀を聞く心持になれば微塵の苦もない。菜の花を見ても、ただうれしくて胸が躍るばかりだ。蒲公英もその通り、桜も――桜はいつか見えなくなった。こう山の中へ来て自然の景物に接すれば、見るものも聞くものも面白い。面白いだけで別段の苦しみも起らぬ。起るとすれば足が草臥れて、旨いものが食べられぬくらいの事だろう。

しかし苦しみのないのはなぜだろう。ただこの景色を一幅の画として観、一巻の詩として読むからである。画であり詩である以上は地面を貰って、開拓する気にもならねば、鉄道をかけて一儲けする了見も起らぬ。ただこの景色が――腹の足しにもならぬ、月給の補いにもならぬこの景色が景色としてのみ、余が心を楽ませつつあるから苦労も心配も伴わぬのだろう。自然の力はここにおいて尊とい。吾人の性情を瞬刻に陶冶して醇乎として醇なる詩境に入らしむるのは自然である。

恋はうつくしかろ、孝もうつくしかろ、忠君愛国も結構だろう。しかし自身がその局に当れば利害の旋風に捲き込まれて、うつくしき事にも、結構な事にも、目は眩んでしまう。したがってどこに詩があるか自身には解しかねる。