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あらほうし
荒法師
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,734 字 · 36 页
のが真如だ、殖えもせず減りもしない、焼けも腐りもしない、天地が亡びても亡びない、……まあ云ってみれば真如とはそういうものだ」「そうするとそいつはよっぽど死太いものですな」農夫は解せたような解せないような妙な顔をした、「それで……なにかそいつは薬にでも使うんですかな」それからなお半刻ほど同じような問答が続き、やがて隠居閑右衛門が肚を立てて奥へひっこんでしまったので、農夫は結局なにもわからずじまいだった。このことが噂になりだしてから間もなく、或る日のひざかりに俊恵は大鍬を手にして、本堂の裏の片隅をせっせと掘り返していた、季節はもう初夏にはいって、照りつける日光は、境内の若葉に反映して眼に痛いほどぎらぎらと輝いていた、俊恵はまるで頭から水を浴びたように汗みずくで、今はもう身の丈を越すほども掘った穴の中でなおけんめいに鍬をふるっている、朋輩の僧たちがなにを云ってもきかないし、和尚が出て来て叱りつけたけれど耳にもかけなかった、そのうちに檀家の老人が墓地へゆきがけにみつけて、なにげなく呼びかけた、「俊恵さま暑いのにご苦労でございますな、しかしなにをしていらっしゃる」