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あらほうし
荒法師
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,734 字 · 36 页
八
のだという、……かれはそれを聞くとすぐに寺をでかけた。もちろんいって供養するつもりだったが、それよりもいってみずにいられない気持があった、それは自分でもわからないあの忿怒、心の底からつきあげてきて抑えようのないあの忿りが、今またがっしとかれを掴んだのだ。行田の森は城の南がわにあった、昌平寺からは寄手の陣をまわってゆかなければならないので、そこへゆき着いたときはもう黄昏の頃である、水田と蘆の茂った沼沢にかこまれて、その森は鬱々と昏れかかり、どこかでもの悲しげに蜩ぜみが鳴いていた。……かれは法衣をかき合せ、数珠をとりだして、聖域にでも参るような足どりで、そこへはいっていった。
八
捜してまわるまでもなく、死躰はすぐにみつかった。巨きな杉の根方に、下草の疎らに繁った土の上に、またひこばえの葉簇の蔭に、此処にひとり、かしこに二人と斃れていた。俊恵はふしぎなほどおちついた気持で、死者の枕頭に立っては供養をしてまわった。……どんなにすさまじく戦ったのだろう、みんな鎧もずたずたになり、どれもこれも満身創痍の姿だった、横顔を草に埋めている者もあり、仰に斃れて眼をみひらいた