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そうし
荘子
岡本 かの子
「三田文学」1935(昭和10)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,362 字 · 25 页
と云った。遜も侍女たちも声を挙げて笑った。戦国の世には宴席にもこういう殺気を帯びた芸が座興を添えた。
目ばたきもせず芸人の動作に見入っていた荘子はつくづく感嘆して訊いた。
「これには何か、こつがあるのかね」
壮漢は躊躇なく答えた。
「こつは却って、この相手の娘にあるんです。この娘は生れついてから刃ものの怖ろしいことを知らないんです。斧に向っても平気でいます。それでわたくしはやすやす斧を揮えるのです」
荘子は「無心の効能」に思い入りながら少女を顧みた。少女は侍女の一人から半塊の柘榴を貰って種子を盆の上に吐いていた。それを喰べ終ると壮漢に伴われ次の部屋へ廻りに出て行った。
薫る香台を先に立てて麗姫が入って来た。部屋の中は急に明るくなった。彼女はその美を誰にも見易くするように燭の近くに座を占めた。
彼女は生れつきの娥※靡曼に加えて当時ひそかに交通のあった地中海沿岸の発達した粉黛を用いていたので、なやましき羅馬風の情熱さえ眉にあふれた。
彼女の驕慢も早く洛邑に響いた稀世の学者荘子には一目置いて居た。彼女はおとなしく荘子の前に膝まずいた。
「よくお越し下されました。