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そうし
荘子
岡本 かの子
「三田文学」1935(昭和10)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,362 字 · 25 页
随分お久しぶりにお目にかかります」
「田舎へ入って仕舞ってどちらへも御無沙汰ばかりです。だが、あなたは相変らずで結構ですな」
「はい、有難う御座います。お蔭さまをもちまして………あのお宅さまでは奥様も御機嫌およろしゅう御座いますか」
「先ごろから少々わずらって居ますがさしたることもありません。大方なれない田舎棲いでいくらかこころが鬱したからででもありましょう」
「ちと都の方へもお出向き遊ばすよう御言伝えて下さりませ」
「懇なお心づかい有難う、とくと申伝えてつかわしましょう」
しかし、荘子と麗姫の儀礼をつくした言葉のやりとりはその辺で終った。やがて麗姫は何もかも忘れてしまって自分の興そのものだけを空裏に飛躍させ始めた。荘子はその境地を見るのを楽しみにしてこそ麗姫に逢いに来たのである。彼は心陶然として麗姫の興裡に自分も共に入ろうとした。
「………海上に浪がたつ時、その魚は翼をのばして、一丁も二丁も浪の上を飛ぶのですって」
彼女は、それを繰返し繰返し云うのであった。荘子は始め、彼女が何を云い出したのかと思ったらそれは先頃支離遜に無理難題を云いかけてはるばる東海から彼女が取寄せて貰った生きた文※(「魚+搖のつくり」