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そうし
荘子
岡本 かの子
「三田文学」1935(昭和10)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,362 字 · 25 页
乍ら出て来た。
「おや誰ぞお人がと思いましたら遜様で御座いましたか、さあ、どうぞ」
遜は入口の土間の木卓の前へ招ぜられた。
「奥様は何か水仕事でもなさって居らっしゃいましたか、お加減がお悪いとか伺いましたのに」
「いえ、大したことも御座いませんのでお天気を幸、洗濯ものをいたして居りました」
「奥様が洗濯までなさるような御不自由なお暮らしにおなりなさいましたか………いやいや長くはそうおさせ申して置きません、遠からずくっきょうな手助けのはしためをお傍におつけいたすようお取はからい申しましょう」
「いえ、どういたしまして、加減が悪いと申して大したことも御座いません、わずかなすすぎ洗たく位、この頃の夫のことを思いますれば却ってこうした私の暮らしが似合ってよろしゅう御座います」
「そう仰れば今日は荘先生には如何なされましたな」
「ほ、ほ、ほ、まだお気づきになりませぬか、あれ、あの裏庭の方から聞える斧の音………あれは夫が薪割りをいたして居る音で御座います」
「なに荘先生が薪割り?………それはまた何とした物好きなことを始められましたことです」
「いつぞや洛邑から帰りまして………そう申せばあの折は、大層なおもてなしを頂きまして有難う存じました………あれから暫くの間考え込んで居りましたがふと思いついてあのようなことを始めましてから夫の日々