轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きくちよしょう
菊千代抄
山本 周五郎
「週刊朝日春季増刊」朝日新聞社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,178 字 · 72 页
もちろん常にというわけではない、ごくときたまのことではあるが、ふとすると小名木川で遊んでいた子供たちの、男も女も素裸のからだつきが、眼にうかぶ、そして自分のからだとの差異を、ひそかにじっと思い比べるのであった。
菊千代は慥かに差異のあることを認めた。それはかなり歴然としたものであったが、日の経つにしたがって印象が薄くなり、かれらのそこがどんなふうであったか、自分とどのように違っていたかはっきりしなくなった。
――違うのが当然なんだ、かれらは下民の子供だし、自分は八万石の大名の世継ぎなのだから、かれらとはすべてが違うんだ。
こう自分で自分を納得させた。そのとおりだと思うのだが、それでも一種の不安や羞恥がしだいに根強くなり、その反動のように、言葉つきや動作がだんだん粗暴になっていった……そのころはもう松尾は庭へあまり出て来ず、東谷と柿沼という若侍が付いていた。東谷のほうはそうでもないが、柿沼大四郎はやかましい男で、つまらない事にもよくむきになって怒った。
「さような言を仰せられてはなりません。それは卑しい言葉でございます、おやめなさらぬと樋口さまに申します」