轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

「週刊朝日春季増刊」朝日新聞社、1950(昭和25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,178 字 · 72 页

青空文庫

激しくからだをぶっつけたり押えこまれるときなどは、その匂いで咽せるような感じになった。

「どうしてこんなに若のからだはふにゃふにゃしているんだろう、おまえは背もずんずん伸びるし手足もこんなに固くなる」

菊千代は自分の腕や足を掴んでみながら、たびたび半三郎のそれと比べてみた。

「――それは、躰質というものがありますから」半三郎はそんなとき言葉を濁した、「――躰質もあるし、年も違いますし、それにやはり、……なんといっても御身分が」

「もういい、わかったよ、なにか云うとすぐ御身分だ、たくさんだよ」

こんな問答になると半三郎はいかにも困ったような顔をする。彼はもう十五歳くらいになっていたが、背丈も高く、逞しいからだつきで、毛の多いたちとみえ、脛にも毛が生えていたし、鼻の下にも疎らに生毛が出た。からだに比べて顔は小さく、おもながで線がきりっと緊って、よく澄んだ考えぶかそうな眼といつも濡れたように赤い唇とに特徴があった。……それが困ったような表情になるのをみると、菊千代は云いようのない激しい感情を唆られる。いきなり抱きついて泣くか、もっといじ悪くやりこめるか、どっちにしても彼の本心とじかに触れたいというじりじりした気持になるのであった。