轻松读懂日语经典作品
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あし
葦
山本 周五郎
「週刊朝日」朝日新聞社、 1947(昭和22)年6月22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,406 字 · 25 页
しかしまったくふいにみち糸が切れ、竿が軽くなった。急に二度ばかり水音をさせ、そして深みへ逃去った。
彼はしばらく棒立になっていた。それから苦笑しながら、汗を拭いた。釣る気もない竿へそんなおお物のかかったこと、まるで子供のように自分が昂奮したこと、どちらも思いがけなく可笑しかった。――こんなことが病みつきの元になるのだな、彼はそう思いながら、糸と鈎をつけ直し、こんどはかなりいきごんでそこへ坐った。なぜとはなしに、いま逃がしたような魚がもういちどかかりそうに思えたから。……糸を垂れ、ほっと吐息をついた、そこで読みさした手紙のことに気がつき、振返って見た。どこにも見あたらなかった、立ってみた。
「ここへ置いたんだが」こう呟きながら眺めまわした。そしてそれが水の上にあるのをようやく発見した、手紙は水路を流れていた、さっき立つとき落ちたのであろう。彼は竿を伸ばしてみた、もう届かなかったし、それ以上の手段をとるほど興味のあるわけではない、彼は坐った。
「どんな女からどんな男へ宛てたものだろう、遺書のようでもあったが、どうしてこんな処に埋まっていたのか、……女はどうしたか」