轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あし
葦
山本 周五郎
「週刊朝日」朝日新聞社、 1947(昭和22)年6月22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,406 字 · 25 页
渋色になった古畳の上に団扇が一つ、褪せた水色の腰紐がひとすじ落ちている。去っていった女の遽しい立ちざまを示すかのようだ。彼は手枕をして横になり、眼をつむった。
女を知ったのは二年まえである。名はしほといった。かたちばかりに切花を売っているので『花屋』といわれるが、じっさいは酒と女を置き、小部屋あそびをさせる、しほはそういう家の女だった。おと年の夏、五人ばかりで舟を雇い、川狩りをした帰りに、舟で飲んだ酒の余勢でその家にあがった。彼には初めての経験だった。しほが眼ざとくそれを察して、自分から彼の側に来て坐った。
小さなうす暗い部屋へつれてゆかれ、二人きりで酒の膳を前にした、彼は酔っていた。女の眼がしきりに唆るような動きかたをした。
「あなたもやっぱりおんなじ男ね」女は彼の手から身をすりぬけながら云った。「なぐさみものとしてしか女をごらんになることはできないんですか」
「おれはそんな人間じゃない」
「それもおんなじだわ、男ってみんなそう云うのよ、はじめのうちだけね」
「おれにはわからない、どうすればいいんだ」
「あたしを迷わせてちょうだい、あなたも迷ってちょうだい、それまでは、いや」