轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いっぺいそつ
蒲団・一兵卒
田山 花袋
田山花袋『蒲団・一兵卒』。同一底本的分册已合并为一书。收入:一兵卒、ネギ一束、少女病。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,948 字 · 59 页
日本兵が始めて入った時、壁には黒く煤けたキリストの像がかけてあった。昨年の冬は、満州の野に降りしきる風雪をこのガラス窓から眺めて、その士官はウォツカを飲んだ。毛皮の防寒服を着て、戸外に兵士が立っていた。日本兵のなすに足らざるを言って、虹のごとき気焔を吐いた。その室に、今、垂死の兵士の叫喚が響き渡る。
「苦しい、苦しい、苦しい!」
寂としている。蟋蟀は同じやさしいさびしい調子で鳴いている。満洲の広漠たる野には、遅い月が昇ったと見えて、あたりが明るくなって、ガラス窓の外は既にその光を受けていた。
叫喚、悲鳴、絶望、渠は室の中をのたうちまわった。軍服のボタンは外れ、胸の辺はかきむしられ、軍帽は頷紐をかけたまま押し潰され、顔から頬にかけては、嘔吐した汚物が一面に附着した。
突然明らかな光線が室に射したと思うと、扉のところに、西洋蝋燭を持った一人の男の姿が浮き彫りのように顕われた。その顔だ。肥った口髭のある酒保の顔だ。けれどその顔にはにこにこしたさっきの愛嬌はなく、まじめな蒼い暗い色が上っていた。黙って室の中に入ってきたが、そこに唸って転がっている病兵を蝋燭で照らした。