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あしかり

蘆刈

谷崎 潤一郎

「改造」改造社、1932(昭和7)年11月号、12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,413 字 · 78 页

青空文庫

月日のうちにはしぜんうたがいの眼があつまってまいりますはずで芹橋の嫁は貞女が過ぎる、姉孝行にもほどがあるというかげぐちがやかましくなってまいりますにつけても三人のほんとうの胸のうちをさっしておりました叔母だけがひとりしんぱいしておったのでござります。しかし粥川家の方でもさいしょは噂をとりあげもいたしませなんだが一が亡くなりましたときに母親の注意が足らなんだという批難がおこってまいりましたのはそれはもうなんといわれましてもお遊さんのおちどなのでござりまして子供をいつくしむこころがうすらいでいたわけでもござりますまいけれども日頃からばあやまかせにするくせがついておりましたので看病のあいまに半日ほどの暇をぬすんでぬけて出ましたらそのあいだにきゅうに様子がかわりまして肺炎になったのだそうにござります。で、子供というものがあればこそたいせつな人でござりますが子供が死んでしまいましたらちかごろよくない評判もあるしまだうばざくらというにさえ若すぎるとしだし旁これはややこしいことがおこらぬうちに里へかえってもらった方がというような話になりまして引き取るとか引き取らぬとかいろいろとまたこみ入ったかけ合いがござりました