轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くも
蜘蛛
甲賀 三郎
「文学時代」1930(昭和5)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,314 字 · 22 页
そのために、研究室の下には一時、見物人がむれて、辻川博士はひじょうに不快なめをしたことは、前にものべたとおりである。その後も博士は蜘蛛の研究をやめようとせず、研究室に閉じこもっていたが、最近ではすこし頭の調子が狂いだしたらしく様子が変だということを私はきいた。
私は円形の奇妙な研究室のなかで、醜怪な蜘蛛類にかこまれながら、思わずも故辻川博士の懐旧にふけったが、ふと気がつくと、テーブルの灰皿にはいつのまにすったのか、吸殻が林のように立っていた。私は時間のうつったのに驚きながら立ちあがって、念のためにもう一度、飼育函のなかの蜘蛛類を観察して、それらの処分法について、頭のなかに一つのプランをつくりあげた。そこで、私がこの研究室にやってきた目的はたっせられたわけであるから、私は前にものべたとおりこの部屋に出入する唯一のドアに手をかけて静かに内側に開いて、なにげなく一歩外へふみだそうとしたが、そのときに私はアッと叫んで、グラグラとしながらドアにしがみついた。私はもうすこしのことで直下三十尺を墜落するところだったのだ。それはなんと不可思議なことであろう。ドアの外にはたしかにあるべきはずの踊り場も階段も、影も形もなく消え失せているのだった! はるかに脚下には三十尺の支柱の土台となっている円形のコンクリートの地盤が、私