轻松读懂日语经典作品
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
「週刊朝日別冊 記録文学特集号」1949(昭和24)年9月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,644 字 · 49 页
いつかなども、やってきたのはいいんですが、話もなく、いきなり泣くばかりで、扱いかねて、あぐねちゃったわ。それであなた、どうしてアレをごぞんじなの?」
「今日、岩城南光に、紅葉を見ようって誘いだされて、欺し討ちみたいに、あのひとに紹介されちゃった……ひどいところにいたよ」
「そういっちゃ、なんですけど、自業自得よ。無計画性……空想的な娘って、たいてい、そうしたことになるものよ。戦後のゴタゴタの間、現地で花世が世話になったこともあるそうですが、それにしたって、日本まで追いかけてくるなんて、非常識きわまるじゃありませんか」
「恋愛って、もともと非常識なものなんだが、僕が聞いたところじゃ、約束をして山川君が連れだしたんだそうだから、相手が純真すぎたというところかな」
常子は冷やかな微笑をうかべながら、まじまじしていたが、
「あなたも駄目ね。花世ってものを、ちっともわかっていらっしゃらないじゃありませんか……あらゆる真実が、かならず人を動かすものでもなく、純真さが、いつも人をうつとはきまっていません。相手によっては、誠実に扱ってはいけない場合もあり、嘘をまぜてものをいうほうが、徳をしめすことだってあるんです。