轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

「医者も呼んであげましょう」

「いいえ、お医者はんはもう結構だす。すぐなおりますさかい、お医者さんはいりまへん。池谷さんにも、うちのこと知らせたらあきまへんし」

糸子はひどく医者を恐怖していた。もちろん池谷医師に対する不信のせいであろうと思われるが。

帆村と大川主任とは、糸子をいろいろと慰めてから、その部屋を出た。そして廊下に出て、たがいに顔を見合わせた。

「糸子はんのことは、首にかけて引受けまっさ。どうぞ安心しとくなはれ」

と大川主任は強く自信ありげな言葉でいった。

「じゃ、貴官にくれぐれもお頼みしますよ」

そういって帆村は、主任の手をギュッと握った。部長は帆村の心の中の秘めごとも知らず、ただ感激して帆村の手を強く握りかえした。

蠅男包囲陣

帆村は天王寺公園のところで、夜の非常警戒線にひっかかった。彼は後事を大川主任に頼み、宝塚のホテルから自動車をとばして住吉署に向う途中だったのだ。住吉署に行ってから、先刻の彼が一役買った蠅男捕物の話も聞いたり、それから久方ぶりで帰邸したという奇人館の主人鴨下ドクトルにも会ってみるつもりだった。ところが公園の近くまで来ると、非常警戒線だという騒ぎである。