轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
「署長さん。蠅男はどうしました」
「さてその蠅男やが、折角知らせてくれはったあんたにはどうも云いにくい話やが――実は蠅男をとり逃がしてしもうたんや」
「はア、逃げましたか」
「逃げたというても、逃げこんだところが分ってるよって、いま見てのとおり新世界と公園とをグルッと取巻いて警戒線をつくっとるのやが――」
「ああなるほど、そのための非常警戒ですか。女の方はどうしました、あのお竜とかいう……」
「ああ、あれも一緒に、そこの軍艦町に逃げこんでしもて、あと行方知れずや」
「え、軍艦町?」
「はア、軍艦町には、狭い関東煮やが沢山並んでて、どの店にも女の子が三味線をひいとる、えろう賑やかな横丁や。そこへ逃げこんだが最後、どこへ行ったかわかれへん」
「じゃあ、どっちも捕える見込み薄ですね」
「しかし儂の考えでは、二人ともまだこの一画のなかにひそんどる。それは確かや。この一画ぐらい隠れやすいところはないんや。そしていずれ隙を見て、チョロチョロと逃げ出すつもりやと睨んどる。もっと待たんと、ハッキリしたところが分れしまへんな」
そこへ一人の警官が、伝令と見えて、向うからかけて来た。