轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
警官さんはお昼寝にお夜寝ばかりにお忙しいんだっしゃろから枕もさぞ痛みますやろ。そのときは御遠慮なく、この枕をお使い遊ばせ」
村松検事がこれを見て熊の胆をなめたような顔をした。
「これは投書にしても、最悪性のものだ。警察官侮辱も、実に極まれりというべきだ」
どうやら検事も、本当に怒っているらしい。
帆村も、この枕の小包には呆れるより外なかった。彼は差出人の悪意の籠るその美しい坊主枕をとりあげて、つくづくと眺め入った。
「オヤ、――」
と、彼はそのとき叫んで、枕に耳をソッと当てた。
「これはいかん。皆さん早く逃げて下さい」
そう叫ぶと、帆村は脱兎のように窓際にかけだした。そして川に面した硝子窓をガラリと明けるが早いか、手にしていた美しい坊主枕をエイッと川の中へ投げこんだ。
「どうした」
「どうしたんや」
と、皆はかえって帆村の方に駆けよってきた。そのときだった。
どどーン。
川中に、時ならぬ烈しい爆音が起り、枕を投げこんだところに、水煙が一丈もドーンとうちあげられた。
「呀ッ、――」
「ば、爆弾やあれへんか」
署員は悉く窓にかけよって、なおも大きく息をする河面を凝視した。