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はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

もちろんそれは、村松検事が病人の気を引立ててやろうという篤い友情から出発していることであった。

「あの犯人は、一体何者です」

「皆目わかっていない。――君には見当がついているかネ」

「さあ、――」と帆村は天井を見上げ、「とにかくわが国の殺人事件に機関銃をぶっぱなしたという例は、極めて稀ですからネ。これは全然新しい事件です。ともかくも兇器をとこから手に入れたということが分れば、犯人の素性ももっとハッキリすると思いますがネ」

「うん、これはこっちでも考えている。両三日うちに兇器の出所は分るだろう」

看護婦の君岡が、紅茶をはこんできた。検事は、病院の中で紅茶がのめるなんて思わなかったと、恐悦の態であった。

「――それから検事さん」と帆村は紅茶を一口啜らせてもらっていった。「あの大暖炉のなかから出てきた屍体のことは分りましたか」

「うん、大体わかった――」

「それはいい。あの焼屍体の性別や年齢はどうでした」

「ああ性別は男子さ。身長が五尺七寸ある。――というから、つまり帆村荘六が屍体になったのだと思えばいい」

「検事さんも、このごろ大分修業して、テキセツな言葉を使いますね」