轻松读懂日语经典作品
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
「――娘さん。鴨下ドクトルから、二、三日うちに当地へ来いという手紙が来たという話やが、それは何日の日附やったか、覚えているか」
「覚えていますとも。それは十一月二十九日の日附です」
「へえ、二十九日か」署長は首をかしげ「そらおかしい。ドクトルは三十日に、当分旅行をするという札を玄関にかけて、この邸を留守にしたんや。旅行の前日の手紙で、二、三日うちに大阪へ来いといって置いて、その翌日に旅行に出るちゅうのは、怪ったいなことやないか。そんな手紙貰うたなどと、お前はさっきから嘘をついているのやろう」
「まあひどい方。わたしが嘘を云ったなどと――」
「そんなら、なんで手紙を持って来なんだんや。この邸へ入りこもうと思うて、警官に見つかり、ドクトルの娘でございますなどと嘘をついて本官等をたぶらかそうと思うたのやろが、どうや、図星やろ、恐れいったか。――」
女は身を慄わせて、署長に打ってかかろうとした。青年上原は慌ててそれを止め、
「――警官たちも、取調べるのが役目なんだろうが、もっと素直に物を云ったらどうです」
「なにをッ――」
そういっているところに、村松検事の到着が表から知らされた。