轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

「では、あれはどうします。三十日から旅行するぞというドクトルの掲示は?」

当分旅行ニツキ訪問ヲ謝絶ス。十一月三十日、鴨下――という掲示が奇人館の表戸にかけてありながら、家の中でドクトルの屍体がプスプス燃えているというのは、どうも変なことではないか。ドクトルが若し旅行を早くうち切って家に帰ったところ、邸内に忍びこんでいた蠅男のために殺されたのであったとしたら、家に入る前に、まず旅行中の掲示を外すのが当り前だ。ところがあのとおり掲示はチャンとしていたのであるから、それから考えるとドクトルが殺されたのだと考えるのは変ではないか。

このとき村松検事はパイプを咥えたまま、ニヤリニヤリと人の悪そうな笑いをうかべ、

「ウフ、名探偵帆村荘六さえ、そう思っていてくれると知ったら、蠅男は後から灘の生一本かなんかを贈ってくるだろうよ」

「灘の生一本? 僕は甘党なんですがねえ」

「ホイそうだったネ。それじゃ話にもならない。――いいかね、旅行中の看板を出したのは、訪問客を邸内に入れない計略なのだ。邸内に入られて御覧。そこにドクトルの屍体があって、火炙りになろうとしていらあネ。それでは犯人のために都合が悪かろうじゃないか。