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はえおとこ
蠅男
海野 十三
「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页
あとに警察の保姆がついている。
「おう、帆村君、正木署長の電話によると、いま玉屋総一郎の邸に、怪しき男が現われて邸内をウロウロしているそうだよ。いよいよチャンバラが始まるかもしれないということだ。これから一緒に行ってみようじゃないか」
「ほう、また怪しき男ですか。どうも怪しき男が多すぎますね」
カオルの連れの上原山治が、キラリと眼を動かした。
「多いぶんには構わない。足りないよりはいいだろう。――それからお嬢さんに上原君でしたかな。二階に落着いた部屋があるから、そこでゆっくり休んで下さい。この婦人が世話をしますから、どうぞ」
検事が頤をしゃくると、保姆は人慣れた様子で二人に挨拶し、二階へ案内する旨を申述べた。――二人は観念したものと見え、また互いの眼を見合わせたまま、保姆の後について、部屋を出ていった。
「さあ、行こう。――が、君の服装は困ったネ」と検事が顔をしかめた。
「いや、服ならあるんです。ソロソロ閑になりましたから、一つ着かえますかな」
そういって帆村は、そこに張り番をしていた警官に会釈すると、警官は椅子の上に置いてあった風呂敷包みをとって差出した。