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はえ
蠅
海野 十三
「ぷろふいる」1934(昭和9)年2月号~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,774 字 · 40 页
と書いてあった。
ノックをして、二人は部屋の扉を押した。
「やあ――」
と暗い室内から声をかけたのは、花山医学士だった。彼は待ちかねたという面持で、二人を大きな卓子の方へ案内した。そこには硝子蓋のついた重ね箱が積んであった。
「このとおりです。みんな調べてみました」
硝子箱の中には、沢山の白い短冊型の紙がピンで刺してあった。そして大部分は独逸文字で書き埋められてあったが、一部の余白みたいなところには、アラビア・ゴムで小さい真黒な昆虫が附着していた。どの短冊もそうであった。
それは蠅以外の何物でもなかった。
「結果は如何でした」
と帆村探偵が、頬を染めながら訊いた。
「大体を申しますと、この蠅の多くは、家蠅ではなくて、刺蠅というやつです。人間を刺す力を備えているたった一種の蠅です。普通は牛小屋や馬小屋にいるのですが、こいつはそれとはすこし違うところを発見しました。つまり、この蠅は、自然に発生したものではなくて、飼育されたものから孵ったのだということが出来ます」
「すると、人の手によって孵されたものだというのですね」と帆村が訊きかえした。
「そういうところです。