轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

「講談倶楽部」1928(昭和3)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,586 字 · 71 页

青空文庫

今は天下は治まりまして、秀次公には関白職、そうして妾は女の身分、それに戦いで滅ぼされましたは、戦国時代の習慣としまして、誰も怨もうこともなく、で、妾といたしましては、今さら父母の仇敵と、秀次公を狙おうなどとは、決して思っては居りませぬどころが、手頼り無い身でござりますので、いっそ両親の菩提のために、諸国の神社仏閣を、巡拝いたそうと存じまして、京都へ参ったのでございました。でもともかくも秀次公に仕える聚楽第の若いお侍に、手籠めに合いなどいたしましたら、逝き父母に対しては申訳なく、妾自身に対しましては、恥しい次第にございます。……ほんにあの時お助け下され、何とお礼を申してよいやら、有難い次第にござります。……それにこのようにご親切に、お屋敷へさえお連れ下され、手厚い介抱を受けまして、いよいよ忝けなく存じます」

その娘の名はお紅と云い、北国の名家、佐々隆行、その一族の姫なのであった。その父の名は時明、その母の名はお園の方、一時はときめいた身分なのであった。

それであればこそお紅という娘も、貧しい貧しい廻国風の姿に、身を※(「にんべん+肖」、第4水準2-1-52)してはいるけれど、臈たけいまでに品位があり、容貌が打ち上って見えるのであった。