轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

「冨士」講談社 1939(昭和14)年9月~12月中絶、「血煙天明陣」桃源社 1970(昭和45)年に付載して完結公刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 页

青空文庫

「黙らっしゃい」と頼母は、とうとう癇癪を破裂させて叫んだ。

「突然呼び止めるさえあるに、腰の物を見せろとは何んだ! 成らぬ!」

「そう仰せられずに、お見せくだされ。相当の物をお差しでござろう」

「黙れ! 無礼な奴、ははア、貴様、追い剥ぎだな。腰の物拝見などと申し、近寄り、懐中物を奪うつもりであろう。ぶった斬るぞ!」

「賊ではござらぬ。ちと必要あって腰の物拝見したいのじゃ。何をお差しかな。まさか天国はお差しではござるまいが」

「ナニ、天国? あッはッはッ、何を申す、馬鹿な。天国や天座など、伝説中の人物、さような刀鍛冶など、存在したことござらぬ。鍛えた刀など、何んであろうぞ」

すると武士は、頭巾の中で、錆のある、少し嗄れた声で笑ったが、「貴殿も、天国不存在論者か。馬鹿者の一人か。まアよい、腰の物お見せなされ」と、近寄って来た。

頼母は、傍若無人といおうか、自信ある行動といおうか、相手の武士が、無造作に、近寄って来る態度に圧せられ、思わず二、三歩退いたが、冠っていた編笠を刎ね退け、刀の柄へ手をかけた。父の敵を討つまでは、前髪も取らぬと誓い、それを実行している頼母は、この時二十一歳であったが、前髪を立てていた。