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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
「冨士」講談社 1939(昭和14)年9月~12月中絶、「血煙天明陣」桃源社 1970(昭和45)年に付載して完結公刊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 页
「これお浦、どうしたものだ。どこまで行けばよいのだ。蛇の生殺しは怪しからんぞ。これいいかげんで……」
渋江典膳であった。五郎蔵の賭場で、百二十五両の金を強請り、場外へ出ると、賭場で、五郎蔵の側にいたお浦という女が、追っかけて来て、親分の吩咐けで、一献献じたいといった。こいつ何か奸策あってのことだろうと、典膳は、最初は相手にしなかったが、田舎に珍しいお浦の美貌と、手に入った籠絡の手管とに誘惑かされ、つい府中の料理屋へ上がった。酒を飲まされた。酔った。酔ったほどに、下根の典膳は、「お浦、俺の云うことを諾け」と云い出した。
お浦はお浦で、五郎蔵から、
「あんな三下に、大金を強請られたは心外、さりとて、乾児を使って取り返すも大人気ない。お浦、お前の腕で取り返しな。取り返したら、金はお前にくれてやる」と云われ、その気になり、出かけて来た身だったので、「ここではあんまり内密の話も出来ないから……ともかくも外へ出て」と、連れ出して来たのであった。
「どこへ行くのだお浦、ひどく寂しい方へ連れて行くではないか……」
と、典膳は、お浦の肩へ手をかけようとした。
お浦は、それをいなしたが、