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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「明日はお帰りだってね。べつに大した用もないんだが、お名残りおしいから、ゴキゲン伺いにきたのさ」
相変らずの皮肉な口調であった。
「一週間、君にも、梶女史にも、北川少年にもお目通りしなかったから、奴め自殺しやがったかとお考えかも知れないが、ナニ、ぼくのことなんか爪の垢ほども考えてやしないだろうがさ。ハハ。しかし、お名残り惜しいんだ。純粋にそれだけだよ。恨みを述べればキリがないがね」
青木は笑って、
「知ってるんだよ。あの晩、君と梶女史が待合に泊ったことを。ハハ。つけたんだよ。梶女史に会いたくってさ。なにも、あなた、ぼくがどれほど落ちぶれたって、あなた方がシッポリなんとやら、それを突きとめるためにつけるほどケチな根性はもたないさ。ねえ。そうだろう。女房があなたが好きで先刻逃げられたぼくだもの、今更ねえ。だがさ。待合の陰にかくれて一夜をあかして、あなた方がついに御帰館なきことを知らざるを得なかったぼくの胸中というものは、甚だ俗ではあるが、万感コモゴモでしたよ」
それを言ってしまうと、青木はかえって晴れ晴れしたようであった。彼は明るく笑って、
「それから、ぼくが、どうして生きていたと思う? いやさ。