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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「私がおごるわ」
記代子は強い力で、青木を地下の酒場へひきずりこんだ。客はかなりたてこんでいた。記代子はあいてるソファーへかけて、
「カクテル、二つ。ジン台の辛いカクテル。それから、礼子さん、よんでね。こちら、礼子さんの昔の旦那様。意気地なしよ」
記代子の態度は、なれていた。そして、見ちがえるほど、大人びていた。
「あなた、この店へ来たことがあるね。前に」
「穂積さんと飲むとき、いつも、ここよ」
そうか、と青木は思った。そして、それを今まで黙っていた記代子、突然それをあばきだした記代子の心を考えた。
四
礼子がカクテルを持って現れた。記代子は軽く会釈して、
「つれてきてあげたの。意気地なしを。入口でふるえてたわ。ほら、蒼ざめてるでしょう」
「ヤ。こんちは。ぼくの昔の奥さん。まさか、ふるえもしないがね。しかし、貧ゆえには、ふるえもするさ。今日は持ち合せがないんでね。まさか昔の奥さんに飲ませてもらいたかないからさ。それで、ふるえましたよ。すると、お嬢さんが、おごるというんでね」
青木は笑いながら、懐時計をはずして、
「明日、うけだしに、くるよ」
「もう、こないで」