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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

教えてあげたの。お友だちにきいて」

「その病院は、どこですか」

「忘れました」

克子は鋭い目をした。

「あなた、病院へ行くつもり? そして、どうなさるのよ。ダタイなら、もう、退院してるわ。すべてが、終了したんです。なくなったの。過去が」

放二はうなずいた。

ダタイして入院中なら、心配することはない。しかし、そうなら、青木が知っていそうなものである。

克子も考えていたが、

「金曜日からなのね。三日、四日目。ダタイにしては長すぎるわ」

克子はうかぬ顔だったが、気をとり直して、

「私の知ってるの、それだけだわ。最近は親しくしていなかったから。敏子さんにきいてごらんなさい。勤め先、教えてくれなかったの、当り前だわ。新宿でダンサーしてるんですもの。大胆不敵なのよ。会社とダンサーかけもちだったんですもの。今は会社クビになって、ダンサー専門らしいけど」

と、ホールの名を教えてくれた。

六

新宿はごったがえしていたが、もう二十二時であった。

ダンスホールの切符売場で訊ねると、

「木田敏子? ダンサーですか? 誰かしら。本名じゃアわかんないわ。まって下さい」

美青年の一得であった。