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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
誰の屋敷跡だか、二千坪ぐらいの焼跡をそっくり拝借したものらしい。表側だけコンクリートの塀が焼け残っているが、三方には二間ぐらいの厚板の高塀をめぐらしている。木材だけでも相当の金がかかったであろう。しかし、そのほかには、家をのぞいて、金のかかったものがない。一本の樹木もなかった。裏は一面の花園らしい。門をはいると、隅の方で犬が吠えた。見ると、吠えている一匹のほかに、シェパードが二匹、雑種の猛犬らしいのが一匹、こっちを睨んでいた。家は花園の片隅に、小さな一隅を占めているにすぎなかった。二階屋の七八間ぐらいの小ザッパリした普請であった。
取次にでたのは、若いアンチャンであった。そんなのが、幾人もゴロゴロしているようであった。
放二はいっさい隠さなかった。名刺を渡して、
「大庭先生と社長の言いつけで、大庭記代子とおッしゃる方を探している者ですが、当家にかくまっていただいてるとききましたので、お目にかからせていただきに上りました。御主人にお目にかかって、くわしい事情を申上げたく存じますが、野中さんは御在宅でしょうか」
アンチャンは黙ってスッとひッこんだ。
十