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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
記代子の目はいつも彼の欠点を鋭く見ぬいていると放二は思った。それは記代子が正しい生活をし、心が正しい位置におかれているからだ。
肉親に、友に、見すてられた記代子は、その心が正しい位置におかれているからであろう。人に愛されようとする自らの心は、ゆがんでいる。それをどうすることもできないモドカシサを放二は感じつゞけた。
十四
翌日、放二は約束通りエンゼル家を訪ねて、十万円渡した。
十万円渡した瞬間から、サバサバした気持になることができた。金というものは奇妙な生き物である。人にやるときめた金でも、フトコロにあるうちは、ミレンの去りがたいものがある。他人に所有権が移ってしまえば否も応もない。自然にサッパリしてしまう。
十万円で人の信頼を買おうという考えがどうかしている。金額の問題ではない。金で人の心は買えない。
しかし、そのアベコベも真実であることを放二は知っていた。人間は、お金で買えるものなのだ。身体も、心も。特殊な例をあげる必要はない。早いところ、勤め人の生態がそうではないか。
だいたい、人の心を買うものが、こっちの誠意や赤心だという考えがまちがっている。