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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
浜の真砂と同じように、そういうものも種のつきることはない。あいにく陳腐な砂の一粒に自分の姪がまじってしまったが、彼にとっては、たゞつまらない出来事だと思われるだけのことであった。
エンゼルが記代子を売りとばすことだけは確実だろう。どういう手段で、どこで金に換えるかは見当がつかないが、ほッたらかしておくわけにもいかない。彼には面倒なことだけが残念千万であった。考えると、たゞ、オックウで仕様がない。
五
記代子はどうしてそんなことになったか分らなかった。
「お前の部屋は、今日から下だ」エンゼルがこう言うと、こッちだよと言って、子分の一人がひッたてるように階下へつれて行った。階段の下に当る、小さな格子窓が一つしかない留置場のような三畳であった。下は板敷で、納戸であるが、使いようによっては、座敷牢である。
「ここへ、なによ?」
「はいってるんだ」
「なによ。こんなとこ」
子分の身体を押しきって出ようとすると、
「バカ。勝手に出るな」
中へ突きとばされた。子分は身の回りのものだけ持ってきて、中へ投げこんでくれたが、
「勝手に出るわけにはいかないのだから、用があったら、声をかけろよ」