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つのぶえふくこ
角笛吹く子
小川 未明
「童話」1921(大正10)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,485 字 · 7 页
その店には、ガラス戸の内側に、宝石の入った指輪や、金時計や、銀の細工をしたえり飾りや、寒暖計や、いろいろなものが並べてありましたが、中にも、一つのおもしろい置き時計が目立っていました。
それは、ふくろうの置き時計で、秒を刻むごとに、ふくろうの眼球が白くなったり、黒くなったりしたのです。
そして、時計の針が白い盤の面を動いていました。そのときはまだ、昼前でありましたが、著しく日の長くなったのが子供にも感じられました。
南の方の空の色は、緑色にうるんで、暖かな黄金色の日の光は、町の中に降ってきました。それを見上げると、子供は、いつかこの町を通ったことがあったのを思い出しました。そのときは、雪が盛んに降っていました。北風がヒューヒューと鳴って、町の中は、晩方のように、うす暗かったのです。日が短くて、時計の針が、白い盤をわずかばかりしか刻まないうちに、もう日が暮れかかるのでありました。
人々は、みんな吹雪の音に脅かされて、身をすくめ町の中を歩いていました。じきに暗くなると、どこの家も早くから戸を閉めてしまって、町の中は死んだようになりました。その後は、まったく風と雪の天地で、それはたとえようのないほど、盛んな景色でありました。