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つのぶえふくこ

角笛吹く子

小川 未明

「童話」1921(大正10)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,485 字 · 7 页

青空文庫

子供はそれを忘れることができなかったのです。子供は、こうした吹雪を見るのが大好きでした。そして、黄金色の日の光を見ると、不思議に気持ちが悪くなって、頭痛がしたのであります。

子供は、ふくろうの眼球が、白くなったり黒くなったりするのを、もう見飽きてしまいました。そして時計屋の店さきを離れますと、また、どっちへ歩いていっていいかわからずに、うろうろとしていたのであります。

いくら気の強い子供でも、いまは泣き出しそうな顔つきをせずにはいられませんでした。

どっちへいったら、自分の家へ帰られるだろうかと思ったのです。

このとき、あちらから、真っ黒の頭巾を目深にかぶって、やはり黒い着物をきた、おばあさんがつえをついて歩いてきました。そして、町の四つ角に、ぼんやりと立っている子供を見つけますと、

「おまえは、こんなところにいたのか。」といって、子供の着物のそでを引っ張りました。

「おばあさん、もう家へ帰りたい。」と、子供は泣きだしそうな声でいいました。

「ああ、帰ろうと思って、おまえをさがしていたのだ。」と、おばあさんは答えました。

子供は、黙って、はだしのままおばあさんに連れられて、田舎路の方をさして歩いてゆきました。