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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
「元来人類の眼はかなり遠距離の物体を見るように進化して出来ているものであるが、近年のように書籍や新聞雑誌などが無闇に沢山になっては一通りでも眼を通すのはなかなか大抵の事でない。それで眼というものの天然の役目の外に、新しいしかも不馴れな役目が増したから早晩どうしても何等かの害を生ずるようになる。」少年などにはあまり必要もない読書をさせぬようにせねばなるまいという事である。
(明治四十年十一月二十七日『東京朝日新聞』)
四十六
大洋中の拾い物
本月十四日の本紙に横浜の人が北太平洋で鮫漁中に英文の手紙の入った空瓶を拾うた記事が出ていたが、近着の科学雑誌を見ると次のような事が載せてある。「ウードジョーンスという人が一昨年の暮にインド洋から空瓶を数個海中に投じ、その中に手紙を封入して誰でもこれを拾うた人はその場所と時日を通知するように依頼してあった。ところが昨年の五月にアフリカのソマリの海岸でその中の一本を拾い上げ、また今年の七月同じ処で他の一本を拾い上げた。それでインド洋の真中から西の方へ向うた不断の潮流がある事が知れる、云々」。