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どくしょへんれき
読書遍歴
三木 清
「文芸」1941(昭和16)年6月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,120 字 · 72 页
とか『祈祷』とかを読んでみた。ハイデッゲル教授の時間に、学生にまじっていつも講義を聴いている脚の悪い一人の紳士があった。「あれがブルトマンだ」と学生の一人が私に教えてくれた。ブルトマン教授は思想的には弁証法的神学とつながりをもっているが、ハイデッゲルの哲学にはまたこのものに通ずるところがある。びっこをひきながら教室へ入って来て、熱心に同僚の講義を聴いているブルトマン教授の面影が今の私の眼に浮かんでくる。その後出版された教授の『イエス』という書物を私は深い感銘をもって読んだ。事実、これは小さな本ではあるが、すぐれたものであると思う。ハイデッゲル教授やレーヴィット氏の話をきいて、私は弁証法的神学に興味をもつようになり、バルトの『ロマ書』とか『神の言葉と神学』などを繙くようになった。もちろん、オットー教授の『聖なるもの』も読んでみた。その頃教授はやがて『西・東神秘主義』となって現われたような問題を考えておられ、仏教に関心をもっておられたということにもよるのであろう。日本の留学生が好きで、自宅に招いてお茶の会を開かれたりした。私はまたときどきオットー教授に誘われて、ラーン河の向うの小高い丘を一緒に散歩したことがある。