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ちょうほうちゅうけいきょく
諜報中継局
海野 十三
「新青年」1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,537 字 · 40 页
大統領「僅か三十五億人ではないか。君の要求する四十五億人に足らざること十億人、彼の要求する百八十億人に足らざること実に百四十五億人――而もこれは嬰児まで動員すると仮定しての勘定である。しかもこれに供給する兵器弾薬の量を考えると、余はこれを賄う方法を知らぬ」
(沈黙)
大統領「要するに、余が諸君の希望をそのまま実現する途を歩いていたのでは、破綻の外ない。謀略もきかず、死を恐れず、最低生活に耐え得る敵日本国民を屈服せしむることは依然として甚だ困難だ」
(沈黙)
大統領「いや、日が経ち時が流れるに従って、その困難さはますます鮮明なり。わが心臓の上の荷重は増加する。……かくては、われに残されたる唯一の希望路は、科学発明による奇襲あるのみ。テイラー博士の死は惜しみても余りある。余もまた責任の一部を負担せねばならぬ。テイラー博士は研究に夢中になっていて、保身に欠くるところがあった。研究というと夢中になる科学技術者を保護せねばならない。しかしテイラー博士に再び生を与えることは出来ない。アインスタイン博士。この男がもっとどうか力を発揮してくれるといいんだが、この老ぼれ学者は、わが期待に反した。