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ていそうについて

貞操について

宮本 百合子

「婦人公論」1946(昭和21)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,541 字 · 11 页

青空文庫

中世は、家長によって禁じられた恋愛のために、数々の悲劇をもった。「ロミオとジュリエット」にしろ、「パオロとフランチェスカ」の物語にしろ、スタンダールの「カストロの尼」にしろ。近代キリスト教は、その資本主義社会のモラルとして恋愛と結婚の純潔を主張した。家庭の純潔をもとめた。相手に対して貞潔であること――精神と肉体とが互の愛の調和のうちに統一されてあることを求めているのである。そして、貞潔であるということは、外部からの強制ではなくて、より責任を自覚した男女間の人間性の評価の問題と考えられはじめたのである。

けれども、この考えかたが、現実の社会生活の矛盾や相剋のなかで、どんな破局を経験して来ているかということは、十九世紀以来今日までの文学古典の傑作が扱っているテーマを思い浮べるだけで十分である。ストリンドベリーは、何故あのように女性に対して懐疑的であり、その子の真の父親を知っているのは母親ばかりであるといったのであろう。何故ニーチェは、女性には鞭を忘れるな、と彼らしいいいかたをしたのだろうか。このことは、一見全く反対の作品、例えばモーパッサンの「女の一生」