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ていそうについて
貞操について
宮本 百合子
「婦人公論」1946(昭和21)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,541 字 · 11 页
やトルストイの「復活」と切りはなして観察することは出来ない。資本主義の社会そのものが、社会に貧富の差を生み出し、働く人々の階級と働かせて無為に富む階級とをつくり出した。しかもその社会の本質は、自力でその矛盾を解決する力を失っているから恋愛、結婚における貞潔の社会的根拠というものも保証しかねているのである。男と女とのまじりけない人間評価により立つ愛に対して、分担された責任である互の貞操は、先ず恋愛において、あらゆる社会的矛盾によってゆすぶられている。結婚も、互に選択するという欧州の表面の自由は、そのかげに、経済的利害の打算をふくんでいる。月給を考えずには恋愛も結婚も出来ない。こういう近代の社会生活の間で、第一次欧州大戦後は婦人の大部分がまた、自分の月給ぬきで、恋愛も結婚も考えられなくなって来た。加えて、大戦争のあとには必ず何かの形で経済恐慌がおこる。そのとき、最も深い傷手を蒙るのは、いつも人口の大きい部分をしめる働く女性と青年たちである。
真実の愛に立たない分別ある結婚から、男も女もやがてどの位相手をあざむき、自身をごまかす副次結婚や恋愛に陥っているだろう。