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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

」とのこらず同感。

「いいえ、悪うございましょう。」と綾子一人異議を唱えて、

「それでは、非を蔽うのです、それにあの新聞も、在原の夫人が屠犬児に御恵みなすったことなどは、大層誉めたではございませんか。今停止をさせたでは卑怯に当りますよ。」

「さようじゃの。」

と伯爵は頷きたまえり。

「仕様がありませんね、どういたしましょう。」「こうしてはどうです。」「それも不可ません。」「やはり仕様がありません。」などと小田原評定果し無し。

伯爵は懊悩がり、「そんなに急らんでもまあ可えわい。心配なさるな、どうにかなる。時に、才子は今夜来ていないかの。」綾子「百田様?」伯は「うう」「は、参っております。」「どこへ行った。」とありける時、

「御前いらっしゃいまし。」と敷居越に一礼する二十四五の好男子、伯爵太く渠を愛して才子々々と召たまう。実の名は時次郎といえり。深川家とは親類交際、しばしば出入して家人のごとし。これこの家の後見が、渠を挙て綾子の世継とせんずる内意あるによる。

今宵も席の周旋に来りいるなり。

「さ、ここへ入れ。」と傍に座を給い、「婦人方の席へ我一人孤城落日という処じゃ。