轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかいステッキ
赤いステッキ
壺井 栄
「中央公論」1940(昭和15)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,482 字 · 23 页
とあやまる気持には遠かった。克子への気くばりはいつも卑屈な言葉となって子供たちへあやまり、煎餅の一枚ずつもあたえては、また克子と遊んでくれと頼むのであったが、相手は子供であると知りながら、なお腹にすえかねる思いで、大人げなく敷居をへだてて対峙していた。
戦線万里征くものを――
克子の歌う声が聞こえてきた。豊かな声をはりあげ、大人っぽい節回しで歌っている。みんながいっせいにそちらを見ても、克子はまだ気づかないで、空を仰ぐような格好でからだをふりふり歌いつづけて近づいてきた。何にも見ていないときのゆったりとした表情である。見るとはだしであった。
「克ちゃん!」
思いがけないお母さんのいかつい声に克子はきゅうに足を止め、警戒の態度をした。眉をよせ、目には見えぬ触角であたりをさぐりまわしているような顔つきである。
「草履は」
ああ、それか、とでもいうように克子は薄笑いの顔になってからだの力をぬき、横ざまに畑の石垣にもたれた。
「誰らがかくしたんじゃもん」
鼻声で半分は甘ったれて訴える。子供の一人が、
「灯籠のとこにあったのに、克ちゃん見えなんだんじゃが」とべんちゃら声でいう。