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あかいさかなとこども
赤い魚と子供
小川 未明
「金の塔」1922(大正11)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,559 字 · 6 页
」と聞きました。
母親は、思案顔をして、子供らを見守りながら、
「昔から、花を食べてはいけないといわれています。あれを食べると、体に変わりができるということです。食べるなというものは、なんでも食べないほうがいいのです。」といいました。
「あんなにきれいな花を、なぜ食べてはいけないのだろう。」と、一ぴきの子供の魚は、頭をかしげました。
「あの花が、この水の上に、みんな落ちてきたら、どんなにきれいだろう。」と、ほかの一ぴきは目を輝かしながらいいました。
そして、子供らは、毎日、水の面を見上げて、花の散る日をたのしみにして待っていました。ひとり、母親だけは、子供らが自分のいましめをきかないのを心配していました。
「どうか、花を私の知らぬまに食べてくれぬといいけれど。」と、独り言をしていました。
木々の咲いた花には、朝から、晩になるまで、ちょうや、はちがきてにぎやかでありましたが、日がたつにつれて、花は開ききってしまいました。そして、ある日のこと、ひとしきり風が吹いたときに、花はこぼれるように水の面にちりかかったのであります。
「ああ、花が降ってきた。」と、川の中の魚は、みんな大騒ぎをしました。