轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

05 徒労に賭ける

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,113 字 · 35 页

青空文庫

盗みをした、ということはともかく、師を裏切ったとか、友を売った、などという言葉には意味がありそうだし、大名諸侯や富豪から、礼をつくして迎えられるほどの腕を持っていて、いまだに妻も娶らず、養生所で独り不自由なくらしをしていることにも、なにか仔細がありそうに思えた。半太夫は古参でもあり、去定とはもっとも近しいので、その経歴なども知っているだろうと考えたのだが、訊いてみると殆んどなにもしらなかった。

「先生は決して自分のことは話さない方だから」と半太夫は云った、「私の聞いたところでは、馬場穀里の門下で、鍛冶橋の宇田川榕庵は先生の後輩だということだ」

「馬場というと、洋学の、――」と登は意外そうに反問した、「そして宇田川榕庵と同門の先輩に当るって」

「先生からじかに聞いたのではないから、どこまで真実かはわからないが、馬場氏がもっとも信愛していたのは新出先生だったそうだ」と半太夫は云った、「それで馬場氏は先生を自分の後継者にするつもりでいたところが、先生はそれを嫌って門下をはなれ、長崎へいって蘭方の医学をまなばれたということだ」

登はどきんとした。いつか膵臓の癌腫で死んだ患者があったとき、去定が蘭語ですらすらと病状を云った。