轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
07 おくめ殺し
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,548 字 · 47 页
角三は眼をつむって云った、「わかりました、どうか朝になったらお願いします」
去定は登を見て立ちあがった。登は付いていてやろうかと思ったが、去定の眼つきで、その必要がないことを悟り、立ちあがってその病室を出た。去定は自分の部屋へゆこうとしていたが、登の出て来るのを見ると、「済まないが握り飯を持って来るように云ってくれ」と云った。その言葉で、急に登も空腹だったことに気づき、いそいで廊下口から賄所のほうへ出ていった。
食堂は八時に閉まるので、それ以後は賄所へいくよりしかたがなかったのである。登がはいっていくと、賄所も灯が一つ残っているだけだったが、うす暗くてがらんと広い土間に、男が一人、箱のような物を作ってい、その脇にお雪が立って、それを眺めていた。登はお雪に二人前の握り飯を頼みながら、男が猪之であることに気づいた。
「猪之じゃないか」と登が呼びかけた、「ばかに精をだすな、なにをやってるんだ」
「へえ、なにちょっとその」猪之はあいまいに口を濁した、「先生がたもこんなじぶんまでたいへんですね、外は寒いでしょう」
「話をそらすな、なにを作ってるんだ」
「その、おまるの腰掛なんです」