轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

01 狂女の話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,384 字 · 41 页

青空文庫

――おゆみがそこの、葛籠と長持の隙間に隠れるとまもなく、金網を張った雪洞を持って、その若者がはいって来た。おゆみは鬼かと思ったが、そうではなかったので安心し、そっと声をかけた。若者はとびあがるほど吃驚した。

――あたしよ、とおゆみはささやいた。いま隠れんぼをしているの、鬼が来ても黙っててね。

若者は承知した。彼は古い箪笥からなにかを出し、畳の上へ寝ころび、雪洞をひきよせて、なにかの本を読みはじめた。鬼はいちど覗きに来たが、すぐに去ってしまい、やがて若者がおゆみを呼んだ。

――もう鬼は来ない、面白いものを見せてやるからおいで。

おゆみはそっちへいった。若者はおゆみをそばに坐らせ、ひらいていた本をおゆみに見せた。それは絵のところであったが、どういう意味の絵であるのか、おゆみにはわけがわからなかった。こんなものがわからないのか、と若者が云った。よく見てごらん、もっとこっちへよるんだ。若者がさりげなくおゆみをひきよせた。おゆみはその絵に注意を奪われていて、若者のすることには気がつかなかった。そうしてやがて、いつか手代にされたのと似たようなことをされているのだ、と感じたおゆみは、おどろきよりも恐怖のために息が止まりそうになった。