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あかさかじょうのからくり
赤坂城の謀略
国枝 史郎
「日の出」1935(昭和10)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,661 字 · 16 页
その行動の果敢なる、権門であれ勢家であれ、路次にて一旦邂逅しますれば、乗馬を奪い、従者を役夫とし、躊躇するところござりませぬ。そのため旅人は路程を迂回り、家々では扉を閉じまするような有様。既に柱松に陣を取り、明朝此方へ取りかからん構え、必死に見えましてござりまする」
三
「成程」と正成は聞き終ると、しばらくじっと考え込んだ。
「正遠」とややあって正成は、傍につつましく控えている、一族の和田五郎正遠へ微笑を含んで声をかけた。「意見あろう申してみい」
「は」と云うと正遠は、ユサリと一膝すすめたが、「先般隅田、高橋の勢の、五千余騎をさえ渡辺の橋にて、追い崩しましてござりまする。かかる我君の手腕にも恐れず、公綱わずか七百余騎にて二千余騎のわが軍に向うというは、先般の負戦に負腹たて、無二無三に仕掛くるものと存じまする。謂わば暴虎馮河の勇、何程のことがござりましょう。それに反しましてお味方の勢は、勝に乗りまして意気軒昂、然らば今夜逆寄せ仕り、一挙に追い散らしあそばすこそ、肝要かと愚考いたされまする」。「一理はある」と、正成は云った。「が、それでは味方も損ずるよ」