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せきようかんじけんのしんそう
赤耀館事件の真相
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,797 字 · 60 页
「では、兄も青酸で死んだのでございましょうか」
「恐らくそうであろうと思います。この方も改めて調べて見たいと思うのですが、その前に是非お訪ねしたいのは、勝見伍策とお姉様の関係について、御存知の事実をお話し下さいませんか。いや、もう大体の見当は、お姉様の室にあった手紙から判っているのですが……」それは警部の嘘であった。
百合子は、すっかりその手に乗せられて、嫂が兄の死後、勝見にたよっていたこと、又勝見が深夜に嫂の室を訪ねるのを見たことなどをうちあけてしまいした。警部は満悦そうに頷き乍ら、
「お兄様の御生前には、そうしたことをお気付きでありませんでしたか」
「疑えば疑えないでもありませんが、よくは存知ません。唯、兄と姉とが、勝見のことで変に皮肉な言葉のやりとりをしているのを一二度、耳にしたことがございました」
「いや、よく判りました。おっつけ勝見を呼び出しますから、一層事実がわかることでしょう」
尾形警部は、その上で、笛吹川画伯や兄や私について、詳細をきわめた質問をしたそうです。百合子は、これから力になって貰いたいと思う勝見に、香しくない疑惑のあるのを情けないことに思いました。