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おどるいっすんぼうし

踊る一寸法師

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,734 字 · 16 页

青空文庫

一寸法師はそれに蓋をして、大きな錠前を卸した。

一束の日本刀がそこに投げ出されてあった。緑さんは、一本、一本、それを拾い、一度ずつ床につき立てて、偽物でないことを示した上、箱の前後左右に開けられた小さな孔へ、つき通して行った。一刀毎に、箱の中から物凄い悲鳴が――毎日見物達を戦慄させたあの悲鳴が――聞えて来た。

「キャー、助けて、助けて、助けて、アレー、こん畜生、こん畜生、こいつは本当に私を殺す気だよ。アレー、助けて、助けて、助けて…………」

「ワハハハハハハ」「あざやかあざやか」「そっくりだ」見物達は大喜びで、てんでんに怒鳴ったり、手をたたいたりした。

一本、二本、三本、刀の数は段々増して行った。

「今こそ思い知ったか、このすべた奴」一寸法師は芝居がかりで始めた。「よくもよくもこの俺を馬鹿にしたな。不具者の一念が分ったか、分ったか、分ったか」

「アレー、アレー、助けて、助けて、助けて――」

そして、田楽刺しにされた箱が、生あるものの様に、ガタガタと動いた。

見物達は、この真に迫った演出に夢中になった。百雷の様な拍手が続いた。

そして、遂に十四本目の一刀がつきさされた。