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じてん

辞典

戸坂 潤

「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页

青空文庫

自然哲学に於ける所謂自然弁証法【本書二六ページ】の認識が夫である。ニュートン(I. Newton)が物質に引力を付与したに対してカントは更に之に対抗する斥力をも付与し、この相抗争する二力によって初めて物質とその運動との概念の構成が可能になると考え、之をその自然哲学の根柢とした。後にシェリング(F. W. J. v. Schelling)がその自然に於ける分極の概念を引き出した所のものが之であり、又ヘーゲル(G. W. F. Hegel)の自然哲学(自然の弁証法)の見本として役立ったのも実は又之である。

カントは第一批判に於て理論的理性から排除した物自体の占める位置を、第二批判に於て実践理性の対象界としての道徳の世界に与えた。理論的な経験の世界と倫理的な実践の世界とがかくて二元論的に対立する。両者は判断力批判(第三批判)を俟たなければ統一され得ない、両者は直接には統一を持てない。カント哲学を統一的に独特の原理を以て展開しようと企てたフィヒテ(I. H. Fichte)は、カントの物自体をば事行(Tathandlung)としての自我にまで純粋にし、理論的自我としての事行が必然的に実践的自我としての事行にまで移り行かざるを得ない所以を示した。